「財団法人阿部育英基金」が設立された昭和30年代は、日本の経済が飛躍的に成長を遂げた
”高度成長期”を迎え、都市部での人手不足が顕著となり、農村部から都市部への人口移動が起こり、
中学校や高等学校を卒業したばかりの若い労働力が「金の卵」と呼ばれた時代でした。
そんな時代背景の中、昭和37年、当時NHK会長であった阿部真之助(あべしんのすけ)氏は、働きながらでも勉学の機会が得られるよう、世界で初めての”放送で学ぶ”全国規模の通信制高等学校
「学校法人日本放送協会学園(NHK学園)」創設に尽力しました。
さらに、阿部氏は生徒・学生のなかで経済的理由により、勉学の希望を果たすことのできない者への奨学金支援の必要性も考えていました。阿部氏が亡くなったあと、さだ夫人がその遺志を継ぎ、育英事業を行うことが発議され、昭和39年10月1日に「財団法人阿部育英基金」が誕生しました。
前日本放送協会会長故阿部真之助氏は、かねてから一般有為の子弟の教育について深い関心を寄せられていたが、特に勉学の希望を有しながらも就学することのできない子弟に対してその機会を与えたいという強い考えを有しておられました。
このような考えの一端として放送を利用することによってこれからの人々の希望を満たすことを目的として、新たに専ら広域の通信教育を行う高等学校を設置することを目的とする「学校法人日本放送協会学園」を設立され、現在働きながら学ぶ多くの人々に大きな光明を与えました。
阿部前会長は、さらにこのような方向を押し進めて、経済的理由によって勉学の希望を果たすことのできない人々に対しても
奨学援護の必要のあることをつとに洩らしておられたが、不幸にしてその実現をみることはなく他界された。
ここにおいて、阿部さだ未亡人は、このような阿部前会長の遺志を継ぎ、その遺された資産を出捐され、これをもって育英事業を行うことを発議された。これに従い、我々はここに「財団法人阿部育英基金」を設立し、阿部前会長の遺志を生かし、大学および高等学校の通信制の課程に在学する者のうち、
学術優秀、品行方正、身体強健でありながら経済的理由によって修学が困難である者に対して奨学援護を行い、もって社会有用の人材の育成に努めるようとするものである。
昭和39年9月7日
設立発起人 日本放送協会
会長 前田 義徳
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